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恥ずかしかったのか、兄さんが赤くなった顔を隠して、背中を向ける。
なんだか、いつもの困った兄さんではないので、可笑しい。
いつもなら、「蛍、最高だよぉおおおーっ!」とか「蛍、愛してるぞぉおおおーっ!!」とか言うくせに……。
まさか、兄さんにもこんな素顔が残っていたなんてね……。
「兄さん、大丈夫ですか?」
クスッと笑いながら、僕は兄さんにあえて、聞いてみた。
「い、いや……なんでもないぞ! 大丈夫だっ!」
平然と笑顔を繕い、その笑顔を僕に向ける兄さん。
だけど、兄さん。
顔が赤いのはさすがに直せていませんよ?
「あれれ……? 兄さん、お顔が真っ赤なままですよ?」
僕は追い討ちをかけるように、聞いてみる。
僕のその言葉で、兄さんの笑顔が完璧に崩れ、変わりに動揺した表情を浮かばせて、更に顔を赤くした。
「だ、大丈夫だ! 心配ないっ!」
兄さんは、必死に顔を隠している。
こんな事を言うのは、変だと思うんだけど……。
それは、とても普段の兄さんからでは、信じられないくらいに、可愛らしい姿だった。
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