3633人が本棚に入れています
本棚に追加
「あははっ、普通に蹴り上げただけだって!」
笑いながら答える海斗に、「いや、お前の普通は異常なんだよ!」と、味方に突っ込みを入れられ、その場にいた男子全員が笑う。
「つーか、そんなに凄いのにどうして部活に入らないんだ? お前なら、多分すぐにレギュラー入りだぜ?」
そい言って、海斗の隣にいた男子生徒が海斗の頭をクシャクシャと掻き回す。
「いや、俺さ。部活とかあんまり興味ないんだよ」
「うわ、もったいねぇ~っ!」
男子生徒は笑い上げて、更に海斗の頭をクシャクシャに掻き回した。
――……本当にもったいない。
外から聞こえてくる会話を聞いて、僕もその男子生徒と同じ意見だった。
どうして、海斗はあんなに運動神経がいいのに、部活に入らないのだろう?
中学の時もそうだったし、……海斗は時間に捕らわれる事が嫌なのかな?
「――ッ!!」
歓声のほとぼりが冷め始めた直後、海斗が何か苦痛の声をあげて、地面にしゃがみこんだ。
「おい、大丈夫か?」
「ああ。……シュートした時にきつく蹴り上げたからかな。足を捻ったみたいだ」
最初のコメントを投稿しよう!