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「おいおい……、保健室に行った方がいいんじゃないか? 俺、先生にちょっと事情を話してくるよ」
一人の男子生徒が、体育の中島先生に向かい、事情を話している。
そして、話し終えたのか、海斗の所へと戻っていく。
「椿、先生から許可をもらってきたぞ」
「そうか。ありがとな、谷山」
谷山と呼ばれた生徒は海斗のお礼に対して、ニコっと笑う。
「気にすんな! つか、きつかったら、一緒についていこうか?」
「いや、大丈夫。そこまで痛くないし、向こうで湿布でも貼ってもらえば、すぐに治るよ」
「そうか……。なら、気をつけてな!」
「ああ。それじゃあ、行ってくる」
海斗は、谷山君が「おうっ」と言うのをちゃんと聞き終えると、ゆっくり歩きながら、運動場から出て行った。
「ふぅ……」
僕はカーテンから、離れた。
……海斗達のやりとりを見ていたために、さすがに見過ごす訳にはいかない。
「海斗、足捻ったんだよね……。……仕方ないか」
そうぼやきながら、湿布と包帯を探していく。
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