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「はぁ~。それじゃあ、俺はもう行くよ」
そう言うと、海斗は扉に向かって、のそのそと歩き始める。
だが、歩き方があまりに不十分に見えたために、海斗が戻るのを僕は止めに入った。
「まだ手当てしたばかりだし、少し安静にしなよ」
僕も立ち上がり、海斗の腕を引っ張って、足を止めさせる。
「これくらいなら、大丈夫だって……!」
海斗は笑った顔を見せる。
……しかし、その顔には明らかに痛みに我慢しているように見えた。
「保健室で少し休みなさい」
僕が少しきつい声を出して、海斗に言う。
握った腕にギュッと、力を込めながら。
「大丈夫って言ってるだろ?」
海斗は僕の言い方に少し不快に感じたのか、怒った口調で言い返してくる。
「……大丈夫じゃないから。顔に明らかに我慢しているのが出てるよ」
負けじと僕も言い返す。
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