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「我慢なんかしてない。本当に大丈夫だって言ってるだろ……っ」
「我慢してる。それに……授業に戻ったところで見学しかできないよ?」
「それは……そうだけど……」
僕の言葉に理があったために、海斗が口ごもりだす。
「だろ? だから、この時間はここにいなさい」
「……はぁ、わかったよ」
海斗が降参して、扉へ向かおうとした足を引き返す。
それを見て、僕も海斗の腕を掴むのを止めて、手を離した。
「やっぱり……、口じゃあ、蛍には敵わないな」
「……別にそんな事ないと思うけど」
「そんな事あるよ、……くっ……!」
再び、海斗が痛そうな顔を浮かべる。
無理に歩いたせいか、痛みが増してきたのかもしれない。
「ほら、手を貸すよ」
「悪い……」
海斗の手を持ってやり、先導してゆっくりと手を引いてやる。
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