異形の歌姫

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「よし、わしがきみがどんなくらしをしていたか、みごと言いあててみせよう」 「そんなことできるの?」 「あぁ、わしはうそをつかんのだから」 ざちょうさんは小さなむねをいばらせた。 「ちかのくらいへやでずっとくらしてきた」 「うん」 「おとうさんによくなぐられたな?」 「うん」 「きょうはじめてへやから出た」 「ざちょうさんすごい!ぜんぶあたってる!」 わたしはいっぱいはくしゅした。 ざちょうさんはとくいげにわらう。そしてすこしだけかなしいかおをした。 「ここではそんなことにはならないよ。ちゃんとおしごとをすれば、しあわせになれる」
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