異形の歌姫

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ざちょうさんのあしおとがとおくなる。のこされたのはわたしとまっくら。 それでもわたしはこわくない。だってはじめてのおともだちなんですもの。 「トイフェル、トイフェルだって?」 すみっこのこえがそう言った。女の人の、かなしそうなこえ。 なにをかなしんでいるのかわからないけど、わたしはげんきいっぱいあいさつする。 「うん、わたしはトイフェル。よろしくね、おともだち」 「こんなはなしがあっていいのか!」 びっくりしてかたをちぢめる。とつぜんうしろからこえがしたから。 「かわいそうな女の子。のぞんでこのからだにうまれたわけではないというのに」 おとこのひと、すごくおこってる。
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