異形の歌姫

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「どうだいトイフェル、ここでのくらしはたのしいかい?」 ごはんをもってきてくれたざちょうさんが、わたしにはなしかける。 「うん、たのしいよ!」 わたしはにっこりしてこたえた。 ここでのくらしはたのしい。 あいかわらずへやからはでられないけど、わたしにはおともだちがいる。 だれにもなぐられない。 まいにちおなかいっぱいたべられる。 これが「しあわせ」なのかな? グリーク、「しあわせ」! 「ざちょうさん、わたしはグリなんだよ。グリークのグリ!」 「ほうしあわせか。それはよかった」 ざちょうさんはごはんをおくと、にっこりしてわたしのおでこをなでた。 「あしたはたくさんのおきゃくさんがくるからね。いいこにしているんだよ、トイフェル」
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