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六月
じめじめとした湿気で、不快指数が満点の中、彼女は今日の昼休みも、三年の先輩達に連れられて、体育倉庫に向かっていた
僕は中庭から横目でちらりと、それを見る
僕の毎日の日課だ
彼女の名前は山名小枝子
クラスの男子からは、発情の対象として、女子からは軽蔑の対象として
『サセ子』と呼ばれていた
お金さえ払えば、誰とでも寝る
そう噂されていた
実際に、学校の男子の何人もが、彼女と寝た事があるらしい
彼女が中学二年の四月に転校してきて、たった二ヶ月で、全校生徒に噂が広まっているのは、ある意味尊敬に価するんじゃないかと思う
今は、三年の怖い先輩達が、ほぼ毎日の様に彼女を買っていた
僕はその光景を、毎日…見つめていた
…バキっ!
突然の衝撃に僕は中庭に倒れこんでしまった
「何ぼけ~としてやがんだ!
ほら、ATM!とっとと、財布だしやがれ!」
………これが僕のもう一つの日課だった
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