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瑞希が入院して二ヶ月経った、10月。
毎日のように通いつめている、病室のドアを開ける。
「調子はどうだ」
「あ、国光。いらっしゃい」
「花、後で活けておく」
「いつもありがとね~」
「このくらい、礼に及ばん」
「素直にどういたしましてって言いなよ」
「……悪かったな」
こんなに元気そうなのに
一体何が彼女を蝕んでいるのだろうか
「そうそう、国光!聞いて聞いて!!」
「…何だ?」
「いいから秘密のことなの、耳かして!」
「……?」
瑞希が明るくひょうひょうと手招きをする。
どうせまた、
主治医の鼻毛が出てたとか
看護婦のファスナーが開いていたとか
そういう話だろうと思いながら
俺はしぶしぶ、瑞希の口元に耳を寄せる。
瑞希は小声で、耳打ちをした。
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