二人の王

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一方は女。 白と青とで装飾された立派な鎧を身に纏い、凛としたたたずまいで前を見据える。   白銀の長髪を後頭部で結い、見目麗しい整った顔立ち。 腰につけた二振りの剣を振るう姿を想像すれば、さながら北方神話に登場する戦乙女(ヴァルキリー)であろう。     「一騎討ちを承諾してくれたことに感謝する。だが、手加減は一切無しだ」     鮮やかなブルーの瞳が、相対する男を射抜くかのようにじっと見つめる。     「当たり前だ。そもそもそんな華奢な体の貴公が手加減などしたら、一撃で吹き飛んでしまうわ」     傲岸不遜、ある種無礼ともとれる態度ではあったが、男にはそれを威厳に変える何かがあった。     2mをゆうに超える巨体。 必要最低限の箇所のみを守る軽めの鎧のため、ところどころから鍛え抜かれた体躯が垣間見える。 赤茶けた短めの髪と髭は、何故か男の荘厳さをひきたてていた。     「一撃でなぎ払えるかどうかは、試してみなければ分からんだろう」     「ふっ、違いない」     女の言葉に、男はうす笑いをあげながら答えた。
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