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唯は外を見たまま話し続けた。
「この辺の初雪って、毎年、年明けでしょ?
東京でホワイトクリスマスって、なんていうか、奇跡って感じじゃない?」
匠は外を見ながら答えた。
「こういうの何て言うか知ってる?」
「こういうの??」
「1%の奇跡・・・ってね」
唯は少しだけ感心したように尋ねた。
「へぇ・・・ちなみに誰の言葉?」
「誰って・・・俺のだけど」
唯は思わず笑ってしまった。
「ふふ、やっぱり麻美の言ったとおりなんだ」
「麻美?
あいつ、何か言ってた?」
「うん。
『昔からちょっと良い台詞思いつく奴だったけど、私に言わせれば、ただの妄想バカ』ってね」
匠は思わず苦笑いを浮かべた。
「妄想バカって・・・麻美のやつ・・・」
「ところで、奇跡に確率ってあるの?」
唯の意外な食いつきに、少し考え、
「・・・あると思うよ。
あった方がおもしろいだろ?」
「おもしろい・・・?
そういうもんなの~?」
「そういうもの」
2人はナポリタンを食べ終えてアポロを出ると、近くのカラオケボックスに入った。
その後は雑貨屋で買い物をして、ゲームセンターではプリクラを撮り、2人だけのクリスマスイブを楽しんだ。
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