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お昼を食べた匠は12時過ぎに家を出た。
駅の北口にやってきた匠は、少し時間があったのでコーヒーショップ「アポロ」に入り、匠は2階の窓際の席に座り、カプチーノを注文した。
その席は、2年前に唯を待っていたときと同じ席だった。
偶然なのか、それとも匠が意図的に座ったのだろうか。
匠はカプチーノを一口飲むと、店のドアが開いたのに気付き、何気なく目をやった。
そして、視界に入ってきた1人の少女を見て、匠は我が目を疑った。
そして、とある1人の名前を口にした。
いやその名前しか出てこなかったのかもしれない。
「唯・・・」
その少女は匠の横を素通りして少し離れた席に着いた。
(唯のはずがないよな・・・
唯は・・・もう・・・)
匠は自分に言い聞かせるように心の中でつぶやいた。
「あれ、匠もここに来てたの?」
突然話しかけられ、匠はあたふたとしたが、声の主を見ると、そこに立っていたのは麻美だった。
「・・・よぉ、あ、もう時間か?」
「うん、そろそろ1時になるよ。
あ、そうだ。葵、ちょっと来て。
匠、この子が今日の合コンの相手の1人!」
麻美が呼んだのはあの少女だった。
肩まで伸びたナチュラル・ブラウンのウェーブの掛かった髪。
ヘアスタイルこそ違うが、輪郭の整った小顔の少女は唯と瓜二つだった。
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