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「匠くん、あの~ですね。
僕の代わりに試験受けてきてくれないでしょうか?
あ、合格通知くれるだけでもいいですよ」
匠が孝文の戯れ言や、独り言を聞き流していると、1人の女子生徒が話しかけてきた。
クラスメイトで、2人とは小学生の頃から付き合いのある宮下麻美だ。
麻美も推薦入試で東京六大学の一つに数えられる法凌大学に合格していた。
「ねえ、もう合格してるなら、明日は暇でしょ?
合コンしない?」
『合コン』の言葉に素早く反応したのが孝文だった。
「合コン!?
あと何人空いてる?」
「私は、推薦合格で大学が決まって、明日、暇じゃないかなあと思う匠を誘ったんだけどな。
そもそも、孝文は勉強しなくていいの?」
しかし孝文は何故か明るい口調で答えた。
「だから、女の子との交流で、少し脳を休めないと、大学なんて受からないって」
麻美は、付き合いが古いだけに、一応、納得した。
「なら・・・いいけど。じゃあ、明日の1時に駅の北口のカラオケに来てね。
あ、暇そうな秀才をもう1人誘っておいてね」
麻美が立ち去ろうとすると、匠が呼び止めた。
「麻美、明日って誰が来るんだよ」
「え、ああ・・・それは秘密。
まあ・・・この時期のクリスマスに合コンに来るんだから、大学に推薦合格した才女に決まってるでしょ?」
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