出会いへの序章

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麻依にアドバイスを求められた匠は冷凍庫から2つの袋を取り出した。 「ブルーベリーとラズベリーなんてどう?」 麻依は2つの袋を手に取り、 「これ・・・? うん、いいかも。 あ、ちなみにお兄ちゃんが食べるケーキじゃないからね~」 リビングに戻ろうとしていた匠は慌てた様子で言葉を返した。 「は?? ああ・・・彼氏のか。 じゃ、明日はデート?」 匠のいじり台詞に、麻依は照れくさそうに答えた。 「まあ・・・ね」 「そっか・・・それで、俺のケーキは?」 匠の言葉に、麻依は少し驚いたように答えた。 「え、お兄ちゃんの・・・? あ、近所のスーパーで夜とかにクリスマスケーキ安売りしてるじゃん」 間接的に「作る予定はない」と言われた匠は軽いショックでうなだれた。 「ところで、明日のお兄ちゃんの予定は?」 「明日? ああ・・・1時からちょっと」 「そう。 私、10時までには出かけるから戸締まり、よろしくね」 麻依は素っ気なく答えると何やら楽しそうにケーキ作りに戻った。 翌朝、9時半に目が覚めた匠は、ケーキを箱詰めし、ラッピングをする麻依を横目に朝食を食べていた。 匠が食べ終わる頃には、麻依は母親直伝のデート用の服に身を包み、2階の自室から出てきた。
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