追憶

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真夏の太陽が僕の世界を照らしていたあの時・・・ 「・・・ねー、お兄ちゃん待ってってばぁー!!」 「ほーら、そんなんじゃ一生追い付けないぞ」 一人の少年を追いかける一人の少女。二人共とても幼く小学生の低学年あたりだろうか。 二人の無垢な笑顔が周りの人たちにも笑顔を、幸せを振る舞っているんじゃないかと思うほど魅力的な笑顔だ。 「こらこら。あんまり遠くに行っちゃ駄目よ」 その少し離れた所に困ったような、それでもとても和かな笑みをうかべている女性。 「まったく・・・元気な子達だ」 その女性の隣に立つ男性。彼の顔にも和かな笑みがうかんでいる。 「パパとママも早く来てよ!!」 とても楽しそうに少女が二人に大きく手を振っている。 二人は顔を見合わせてやれやれと言うかのように歩くペースを早めた。 表情はとても穏やかだった。 「蘭、もたもたしてたら兄ちゃんが一番乗りしちゃうぞ」 少年は三人に聞こえるように大きな声で言い放って、さらに速く駆け出した。
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