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「う……う、ん」
居間からの騒音に、カインの部屋で眠っていた少女が目を覚ました。
「…………ここ、は?」
上半身を起こし、辺りを見回す。
明かりは点いてなく、薄暗いせいで周りはよく見えない。
そのうち、明かりが微かに漏れている扉に目をやる。
扉の向こう側から聞こえる騒がしい声に、なんとなく少女はベッドから降りる。
大きな黒いコートの裾は、地面ギリギリの所、少女の足首辺りまであった。
「おなか……空いたです」
空洞感のある腹を押さえ、フラフラと扉に近付く。
扉の向こうでは、絶えずカインが驚愕し続け、母はカインの言葉を適当に流しながら、淡々と調理を進めていった。
「嗚呼、オレの四年間の苦労が、遂に実を結んだ。
でも母さん、きっと明日は槍が降るぞ。
鉄の傘を、鉄の傘を用意するんだ」
「あら、私と同じこと言ってる。
血を感じるわね~」
「……えっと……あ、あの~」
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