Meet You 【出会い】

12/18
前へ
/103ページ
次へ
場違いな空気を痛感しつつ、少女は扉を開けて顔を覗かせる。 それに気付いた母は脱兎の勢いで少女に近付く。 「あら、起こしちゃったかしら? 体の方はもう大丈夫かい? どこか痛むところは?」 「あ、は、はい、大丈夫、です。 あの、私は、一体……」 「まあまあ、立ち話もなんでしょ。 ほら、そこ座って。 もうすぐでご馳走が出来るから、それまで待ってなさい」 「えっ、でも私……」 「気にしなくていいよ。 母さん、いつもそんな感じだから」 猪みたいな母に戸惑う少女を、見兼ねたカインが助け船を出す。 少女は促されるまま、カインの隣りのイスに座る。 香ばしい匂いに刺激される空腹感と、同年代の少年がいることに安心感を抱いた。 カインはコホンと咳払いをし、口を開く。 「それじゃあまず、君の名前は?」 「名前、は……イブ、です」 イブと名乗った少女は、詰まらせながらもゆっくりと答える。
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加