Meet You 【出会い】

13/18

28人が本棚に入れています
本棚に追加
/103ページ
カインはイブと向き合い、顔の上半分を覆い隠す前髪を直視した。 「オレはカイン、よろしく。 ところでイブ。 質問の前に……それ、前見えてるのか?」 「え、これですか?」 イブは、カインの視線が向けられている前髪を手で撫でる。 「一応見えてるです。 でも私、その……人の目を見て会話するのが、苦手なんです。 何だか、気恥ずかしくて……」 イブは顔を俯かせ、恥ずかしそうに頬を掻く。 カインはふ~んと関心なさげに呟き、右手を伸ばした。 カインは右手をイブの前髪の隙間に滑り込ませ、優しく払う。 突然の行動を理解する前に、カインの蜂蜜色の瞳と、イブの隠された翡翠色の瞳が重なる。 「ふわぁ!カカ、カインさん!? 何するですか!」 「さん付けはやめてくれね?」 前髪を慌てて押さえ、飛び上がりそうな勢いでイスごと後退するイブ。 「あ、それじゃあカイン君で……じゃないです! 私、目を見るのは苦手ですって今言ったばかりじゃないですか!」 「いやぁ、まさかそこまで機敏に反応するとは思わなくて」 カインは、いたずらが成功した子どものような笑顔で言った。
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加