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ニヤニヤするカインと唇をつんと尖らせたイブの間に、大皿を持った母が割って入る。
豪勢なご馳走が盛ってある皿を大雑把に置く。
「ほらほら、話が進んでないじゃないか。
私たちが聞きたいのは、イブちゃんがどこから来たのか。
それと、どうして倒れていたのか……でしょ」
食卓の上に、鼻を直接刺激する香りの根源を残して、またキッチンへと戻る。
イブは気持ちを引き締めて、姿勢を正す。
両手は膝の上で、軽く握る。
「そうですね。
それでは、順を追って説明するです。
私はとある場所から、地名は言えないですけど、そこからこの村、エスナに向けて旅をしてたんです」
「こんなド田舎村に着たくて旅してたのか?」
摘んだ料理を咀嚼させながら、カインが尋ねる。
イブは苦笑いを浮かべた。
「それが、目覚めたとき、ここを目指せ、と書かれた紙と地図があって、それに従っただけで、詳しくは知らなかったんです」
「目覚めた?」
「あっ……いや、なんでもないです!」
カインが訝しげに首を傾けると、イブが慌てて、両手を左右に振ってはぐらかす。
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