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「でもイブちゃん、旅の御供もつけないでここまで来るの、大変だったでしょ。
この辺りなら問題ないけど、都の周辺だと危険な魔物もいるんだし」
また別の大皿を持ってきた母が、意図的に話題を逸らせた。
それを聞いてイブは、どこか憂いを帯びた表情を作る。
「それなら大丈夫です。
私、魔力持ちですから」
「えっ、イブ、魔力があるのか!?」
カインが驚愕して、目を見開いた。
「はい、私、それなりに戦闘もできるですよ。
そこら辺のザコならちょちょい、です」
「へ~、魔力か~、いいな~いいな~」
「あの、あんまり……見ないでほしいです」
カインの羨む熱い視線に、目のやり場に困ったイブは顔を赤くして俯いた。
すると何かに気付いたのか、カインがあっ、と言い、キッチンに戻った母があら?と首を傾げた。
そして、
「「じゃあイブ(ちゃん)はどうして村の入口で気絶してたんだ(のかしら)?」」
ピッタリ同じことを指摘した。
イブの全身が、石のように固まってしまう。
そしてバツが悪そうに頬を掻きながら、
「あの、えっと、実は……」
“ぐ~”
言いよどむイブの代わりに、イブの腹部が気の抜けた返事をした。
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