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星が瞬き、月が怪しく笑う夜。
とある小さな家の、小さな窓から部屋の明かりが漏れる。
家内で二つの影が言い争いを行っている。
「アンタ、いい加減に働いたらどうなんだい!」
「あ~、またその話か。
いいじゃねぇか。
カインは真面目に働いてるんだろ?」
「息子が必死に働いてるっていうのに、アンタは毎日家でゴロゴロゴロゴロ!
ああ、カインがこんな大人になったりしないか心配だよ」
「大丈夫。
カインは必ず立派な大人になってくれたらいいな」
「願望になってるわよ!
まったく……。
老後が不安で仕方がないよ」
「そう気を落としなさんな。
とまぁ冗談はここまでとして……
実はオマエを驚かせようと、コッソリ仕事探してたんだぜ?
しかも数日後には仕事の面接も受けに行く予定だ」
「…………明日は矢が降るわね」
「驚き過ぎだ。
ま、オレも父親だしな。
少しはカインのことも考えてたさ。
もちろん、オマエのこともな……」
「アンタ……」
部屋の明かりが消え、静かになった。
月が笑っている。
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