28人が本棚に入れています
本棚に追加
「カイン、大変だ!」
突如、家の扉が乱暴に開かれた。
こんがり焼けた肉を今まさに頬張ろうとしていたカインも、シルバーを使って上品に振る舞っていた母も、空腹を満たそうとギリギリのマナーで食を進めていたイブも、驚いて手を止めた。
唐突に現れた人物は黒髪の青年、リックだった。
リックは扉の前で膝に手をつき、荒れた呼吸を整える。
しばらく間があいて、カインが恐る恐る聞く。
「あの、リックさん、どうしたんすか?そんなに慌てて」
「カイン!!」
カインの声がかき消えるほどの大声をあげ、リックは深刻な顔つきで言った。
「魔物が……魔物が、“また”この村に来やがったんだ!」
カインは目を見開いて、イスを弾き飛ばして立ち上がった。
「どこに……いるんすか」
「村の入口だ。
それと、オレらを逃がさないよう、周辺を大量の魔物が囲んでるらしい」
聞くや否や、カインはリックを押し退けて、外に飛び出した。
外では、逃げるにも逃げれずにいる村人が、阿鼻叫喚となっていた。
最初のコメントを投稿しよう!