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「お前が魔物か!村のみんなに、何をしたんだ!」
カインは、怒りをむき出しにして叫んだ。
脳裏に浮かぶ一人の少女の面影が、カインを奮い立たせる。
屋根の上の魔物は、すっと目を細めた。
「魔物……否。
我は魔族なり」
「魔族?聞いたことないぞ、そんなの」
リックが聞き返すと、魔族の男は哀むように二人を見下す。
「低能な人間に教えてやろう。
魔物は本来、孤高に生きる存在。
己を誇り、群を成すことを拒むからだ。
しかし、この都度降臨なされた魔王様は、絶対的な力の前に全ての魔物を統べ、頂点に居座られた。
誰しもが魔王様を認め、彼の元に集った。
それが我ら、魔族だ」
「その魔族が、この村に何のようだ!」
説明が終わるやいなや、間髪を入れずにカインが怒鳴る。
「知らずともよい。
貴様も石にしてくれよう」
魔族の男は、鞘から刀を抜き、高く跳躍した。
重力に従い、真っ直ぐに降下する魔族の男。
その落下地点には、カインがいた。
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