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「あっぶねぇ!」
ギリギリで斬撃を躱したカインは、手と膝をついて飛んだ勢いを止める。
そして、足元に転がっていた小石を引っ掴むと、魔族の男と向き合い、
「これでも、くらえっ!」
投石した。
しかし、魔族の男は平然と左肩を引き、軽々と避ける。
狙いを外した小石は必然的に、背後から密かに接近していたイブへと標的を変えた。
ヤバいっ!とカインが顔を引きつらせた、が……
「ナイスです!」
イブはものともせず、右手一つで小石をキャッチした。
そして、キレイな投球モーションからの投石、腕の角度は四十五度のスリークォーター、フォームも完璧。
カインの平凡な投石を圧倒的に上回る剛速石は、寸分狂わず魔族の男の後頭部に向かった。
「すごっ!」
「当たれっ、です!」
カインは感嘆を零し、イブは直撃を確信して低いとろこで拳をつくった。
「軟弱!」
小石は魔族の男が振り向きざまに、目で追うのも困難なほどの速さで薙いだ刀により、遠くへ弾かれた。
「はやっ!」
「そんな!」
カインはまたも感嘆を零し、イブは驚愕した。
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