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集う暗黒の光りはやがて収束し、とある形を成した。
形成されたのは二つ。
一つは右手に、なんの変哲もない木槌を。
一つは左手に、木製の太い杭を。
「“怨返し”させて、もらうです。
アハ ハ ハハハ」
イブは翡翠色の瞳をこれでもかというほど見開き、口元を異様に吊り上げる。
イブから溢れる魔力が、黒と紫を混ぜたような禍々しい色へと変わり、彼女を中心に激しく渦を巻く。
そんな気に当てられて、魔族の男は、次第に恐怖という感情に支配されていった。
「アハハ アハ。
先ずは、右腕」
イブは鋭利な杭の先端をわら人形の右腕(イブから見たら左腕)に突き付けて、緩い動作で右手の木槌を振り上げた。
両の瞳から雫を零しながら、楽しそうに、振り下ろす。
かーん。
「ぐうっ!
がっ……ああああああ!!」
魔族の男の右腕に激痛が走り、手から刀が滑り落ちる。
「アハアハ ハハ。
次は、左腕」
かーん。
「アハハハハ ハ アハハ。
右足、左足」
かーん、かーん。
「ハハハ アハハ アハハ
頭」
かーん。
「 アハ 心臓 アハ 」
かーーーーん。
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