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道端に転がる大きめの石を、車輪が乗り越え、ガタンと縦に揺れた。
「いたっ。
リックさーん、後頭部ぶつけましたー。
もっと安全運転でお願いしまーす」
「そんなとこで寝てるからだろ。
文句なら石に言え」
「ったく、石め」
互いに気のない声で言い合う。
そうこうしてる内に、道の終わりと、村の入口が下から上へと伸びてきた。
「おっ、見えてきた見えてきた。
次は~終点~、ド田舎村、エスナ~。
お降りの際は、忘れ物がないよう、ご注意ください」
カインがだみ声で言った。
エスナ。
カイン達の住む、森に囲まれた小さな村で人口も少ないが、有り余る木材などを近くの町に売り、交易を行っている。
カインは上半身を起こして、伸びをする。
「この荷物全部降ろして、今日の仕事終わりっすよね?」
「ああ、とっとと村長んとこ届けよう。
腹が減って死にそうだ」
入口が近付くにつれて、二人の会話が弾みだす。
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