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太い木で出来た、手作り感溢れる村の入口。
その門には、『ようこそ、エスナへ』と村長がわざわざ直筆で書かれた、横長の板が吊されている。
「あーっ、やっと着いたぁ。
今日の晩飯何かな~……ってんん?」
「どうした?カイン」
「リックさん、あそこに誰か……倒れてます」
屋根の上であぐらをかいたカインが、入口付近で横たわる人物を指差した。
カインは屋根から飛び降り、駆け足で馬車を追い越して、一足先にその人物に駆け寄る。
「おーい、大丈夫ですかー?」
肩に手を置いて、耳元で呼び掛けるも返事はない。
見た目はカインと同い年くらいで、大きな黒いコートを着ている。
黒髪のショートカットだが、長い前髪が両目を覆い隠している。
ほっそりした体付きから、女性であることが伺えた。
「様子はどうだ?」
馬車が追いつき、カインと女性の隣りで静かに止まる。
リックは馬車の上から二人を見下ろす。
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