世界の始まりと、終わりと

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 アンの詠唱しようとしているのは、先ほどの電撃呪文エレキラよりも強力な氷撃ダイヤモンドダストだった。 アン「これで・・、どうっ!?」  アンのダイヤモンドダストは的確にエンシェントドラゴンの足に直撃した。魔竜は跳躍しようとしていたところを失敗し、苦しげな声をあげる。  ダイヤモンドダストによって作り出される氷の強度は、使い手の魔力に左右されると言う。並大抵の特訓ではその魔力はつかない。これは一重に種族の壁によるもの―― ユウ「きみも、アース人か!」  この世界イマディンとは別に存在する世界がある。人々はそれをアースと呼ぶ。  イマディンとアースでは文化の進みが全く違う。そのためアースの人間はイマディンの人間よりも優れた頭脳を持つ。また、イマディン人とアース人とは身体能力にも大きな差があり、アース人は遥かに優れた戦士としての素質を持つ。  数年前からイマディンでは魔物が大量発生し、それによる被害も甚大となっていた。これを看過できない状況とみたミストー王国は傭兵ギルドを設置した。しかし事態は変わらなかった。それどころか、被害の規模は大きくなる一方だった。これは、魔物発生の範囲が拡大しているためであり、魔物の大量発生の原因もわからず解決できないためだ。  王は悩み、宮廷に使える学者を呼び集め、日夜会議を繰り返した。そんなある日、一人の学者が異世界の住人を召還する術の開発に成功する。  召還された異世界の住人は優れた頭脳を持ち、優れた身体能力を持つ。そして彼らはイマディン人と同じ感情、理性を持っていた。彼らの力を借りればギルドの戦力も大幅に上がるかもしれない。  そうして、ギルドの依頼をこなし、イマディンの平和のために戦い続ける異界の力を持ちし最強の傭兵こそがアース人であった。
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