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陸上
「やっと高校生活はじまるなぁ!あー楽しみ。」
「おまえがこの高校に入れたのは今も奇跡だと思ってるから。」
啓介は、真っ直ぐ前を向き、背筋を伸ばして雄太の横を歩きながら言った。
「俺もや!」
2人が高校の正門をくぐると、在校生でできた花道がピーンと真っ直ぐに延びていた。
「ちょいちょい、そこの男前な二人さん!」
先輩が部活の勧誘を始めたのだ。雄太と啓介はさほど顔はよくなかった。中の中といったとこだ。にも関わらず彼らはすぐに先輩のほうへ振り向いた。
「呼びましたか?」
なんと勇気のある少年たちだろうか…。
「君ら、陸上やらんかぁ?」
雄太も啓介も中学のときは陸上部だったので、タイミングはよかった。
「はい!高校から陸上やりたいなと思ってたんす。」
雄太が先輩に気に入られようと必死で食いついた。啓介はそんな雄太が気にくわなかった。
「一応、おれは部長やらしてもらってる龍二って言うから、陸上部に入部するときは『龍二さんに誘われました。』って遠慮なく言えよ!言ったら部費安くするから。」
とてもおもしろい人だなぁと雄太は思った。
同時に密かに彼への憧れをも抱きはじめた。
「はい。ありがとうございます。」
雄太と啓介は陸上部の入部を決意した。
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