38人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
焼け落ちる屋敷……。
屋敷の周りでは多くの人間が倒れ、もがき、苦しんでいる。
「はぁ、はぁ、はぁ……水……水を……。」
誰か気付くかもしれないと、希望を捨てず這う男。
握り返されると信じて疑わず、その手はただ前へと伸ばされていた。
ザッ、ザッ、ザッ━━
足音が止まる。倒れる男の目の前には、若い男が立っていた。
「……神は器用だ。」
まるで歌うように、
「神は世の中に3種類の人間を作った……。強い者、弱い者、半端者。弱者はチキンだ。なんでも強者に従う。半端者はいつか強者に立ち向かい、散っていく。」
まるで哀れむように、
「結果、強者と弱者のみが残る……こうして操る側従う側が整ったこの世界は生まれたのさ。」
男には這う力もなく、希望を掴もうとしたまま絶えた━━。
最初のコメントを投稿しよう!