305人が本棚に入れています
本棚に追加
/317ページ
ナリタは綺麗に飾りつけられて、城の奥深い一室に閉じ込められました。
その部屋の鍵を持っているのは、へび王だけで、へび王は、気が向いた時に、気が向いただけ、ナリタの部屋に行くのでした。
ナリタの部屋は、ナリタと同じように綺麗に飾りつけられています。
それは、へび王を不快にさせない為で、王のまわりには、ゴミひとつあってはならないからでした。
へび王は、ナリタの長い黒髪に触れます。
ナリタの細いかかとに触れます。
へび王の問いかけに、ナリタは応えなければ、なりません。
ナリタは、へび王を怖れています。
―王は、いつ私を殺すのだろう―
そんな問いが頭の中で駆けめぐるからです。
ちょっとした、へび王の仕草に、びくびくしているナリタの事が、へび王には気に入りません。
びくびくしているのは、別にナリタだけではありません。
城の者はみんな、へび王に対して、怖れを抱いています。
最初のコメントを投稿しよう!