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へび王は、夢をみています。
暗く、寂しい、闇の夢です。
誰も自分を愛してくれない。かあさまは、俺の姿をみて恐怖で死んだ。
―化け物め!―
父王の声にも似た、低く嘶くような声が、あっちからも、こっちからも聞こえてきます。
―違う!俺は、化け物なんかじゃない!―
へび王は身をよじります。闇を払い除けようと、手をばたばたさせて呻きます。
ナリタはその荒れ狂う手を、一生懸命おさえます。
こんなに振り回していては、いくら手でも吹き飛んでしまいますもの。
―へびだよ、お前は―
闇の中で、別の声がこだまします。
―お前は、疑り深いへびになるのさ―
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