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へび王は、ナリタの瞳を信じることが出来ませんでした。
誰も今まで、人を愛することや、ましてや人から愛されることなど、教えてくれなかったからです。
彼女の瞳を信じることさえ出来れば、もっと変わっていけたのに……へび王には、それが出来ないのです。
彼は、ナリタを疎んじました。部屋にもほとんど訪れず、たまに来ても、皮肉と暴力しか、彼女に与えようとはしませんでした。
けれど、それでもなお、へび王はナリタを手放しません。
ナリタは毎日、へび王が来るのを待っています。
へび王があの日見せた、暗く寂しい瞳。
あの瞳が彼の本当の心だと、ナリタにはわかったのです。
表面の冷酷な目は、全部みせかけなのだと、ナリタは気づいたのです。
へび王の心は、政治にもあらわれます。
彼は例の冷たい瞳で、民衆を取り仕切ろうとします。
彼の政治は、人々の生活を苦しくする一方です。
だから、革命が起こるのです。
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