305人が本棚に入れています
本棚に追加
『自転車の少年』
夜、
少年は、眠れなくなると家をそっと抜け出し
自転車に乗って、この公園の池のそばの木の下で
池を眺めます。
月の光に照らされた、池の中では、
パシャリと魚が跳ね、
あめんぼがスィーっと滑っています。
別に、眠れないからといって、
こんな所に来なくても良かったのですけど、
真っ暗な部屋の中、みんな眠っているのに、自分だけ取り残された気がして、
だからといって、電気をつけて、
みんなを起こしてしまうのも、悪くって
こうして時々、
眠れない日にはこうやって、
この公園に行くのです。
ここには、自分以外にも起きてるものが、いっぱいいるし、
それに今日はなんて綺麗な月夜なのでしょう。
「うれしい。夜は、真っ暗なのだけじゃないんだ」
おしまい
最初のコメントを投稿しよう!