305人が本棚に入れています
本棚に追加
魔女の名前は、
ベサセル・アイ
もう何年、生きているのかわかりませんが、とても年若く見えます。
けれど、彼女の澄みきった青い瞳には、この世の中の、たくさんが映っているように見えます。
ベサセル・アイは
少女の姿をじっと見つめると、棚の奥から万年桜の苗木と、素焼きの植木鉢を持ってきました。
「これを育てて、あんたの溢れてこぼれそうになっている愛情を注ぎ込むといいよ」
「ありがとう」
少女はそう言うと、腰のところまで編んでいた黒髪を、耳までバッサリ切って、ベサセル・アイに渡しました。
魔法の代金は、お金ではないのです。
お金なんて、魔女には必要ありませんから。
彼女は、少女の黒髪が欲しかったのです。それだけあれば、冬用の靴下を編めますものね
最初のコメントを投稿しよう!