マイハート・スイートポット

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魔女の名前は、 ベサセル・アイ もう何年、生きているのかわかりませんが、とても年若く見えます。 けれど、彼女の澄みきった青い瞳には、この世の中の、たくさんが映っているように見えます。 ベサセル・アイは 少女の姿をじっと見つめると、棚の奥から万年桜の苗木と、素焼きの植木鉢を持ってきました。 「これを育てて、あんたの溢れてこぼれそうになっている愛情を注ぎ込むといいよ」 「ありがとう」 少女はそう言うと、腰のところまで編んでいた黒髪を、耳までバッサリ切って、ベサセル・アイに渡しました。 魔法の代金は、お金ではないのです。 お金なんて、魔女には必要ありませんから。 彼女は、少女の黒髪が欲しかったのです。それだけあれば、冬用の靴下を編めますものね
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