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はじまりの日
『ピッッピッーー』
終わりを告げるホイッスルが鳴り、俺の中3の夏は終わった。
結果は大差での惨敗。
ベスト8までいった俺たちは準々決勝で優勝候補の帝国大付属中と当たってしまい負けてしまった。
『お前にしては頑張った方だって、気を落とすなよ。』
俺に話し掛けてきたヤツは本城カイ。
部内で1番上手くて俺と同じポジション。だけど大会前に怪我をしてくり上がりで俺がレギュラーになった。
修斗『お前は悔しくないのかよ!』
カイ『別に俺はまだ全日本があるし。まだお前も終わったわけじゃないだろ』
修斗『えっ』
カイ『高校で頑張れ!補欠君』
と言って笑いながら帰りのバスに乗った。
カイはいいヤツだが上手さを理由にやたらと嫌味を言う。別に慣れていたのだがこの言葉は心に残った…
時は流れて、高校入試。
俺が選んだ高校はバスケ部あるが、毎回一回戦負けの無名校。
俺はカイの言葉から逃げてしまったのかも知れない。でもどうせカイとはもう会うことはないからいいと思っていた。
合格通知が来たのは、春休みだった。
別に自慢したかったわけではないが、なんか外に出たくなった。
近くの公園で休んでいたところにジャージ姿の男が入って来た。
別に気にしていなかったが、その男はこっちに歩いてきた。
とっさに顔を下に向けると男は声をかけてきた。
『修斗か?』
聞き覚えのある声がしたので見てみるとカイが立っていた。
カイ『何してんだよ、お前』
修斗『べ、別に』
カイ『あっそ、ところでお前高校どこだよ?』
修斗『どこでもいいだろ!お前こそどこだよ。』
カイ『コレ見ろよ!』
と言うとカイは胸のロゴを指した。
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