恋物語 第1話

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プロローグ 「君が好きなんだ」 そう告げる貴方の目はとても真剣で、同性とかそんな事さえ些細に思えてしまう。 だけど、僕には受け入れる事は出来ない。 だって、貴方は僕の大切な友達の好きな人だから…。 それに僕は、他に好きな人がいる。 「ごめんなさい…」 だから、精一杯の気持ちを込めて、僕は断るしか出来なかった。 「やっぱりね。君は彼方が好きなんだ?」 「知っていたんですね」 そう僕が好きな人は、貴方の隣に並んでいる東條彼方先輩。 「君の視線を見ていれば分かるよ」 そんなに僕は、あの人を見つめていたのだろうか? 貴方が気付くぐらいに…。 「そんな顔をしないで。君を困らせたいわけじゃないんだからね」 どこまでも優しい貴方。 彼方先輩よりも先に出会っていて、貴方が親友の想い人じゃなかったら、間違いなく僕は好きになっていたと思う。 だけど、それは仮定の話。 現実はこう。 「お願いがあるんだけど、これからも今まで通りに接してくれるかな?」 「はい」 僕だって、貴方と気まずくなんてなりたくないよ。 だって、そんな事になれば、何かあったって、回りにバレてしまうもの。 「良かった。じゃあまた明日ね依緒」 そう言って貴方は、僕に手を振って校舎の方へ戻って行った。 この時、貴方を受け入れていれば、僕はこの後に訪れる悲劇を回避できたのだろうか?
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