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少年が通りを少し外れた辺りの小さな二階建ての"they spell song&dream"と筆記体で書かれワンポイントとして小さな蝶が描かれた小さな看板を掲げる喫茶店のドアに手をかける。
毎回思うのだか、この英語の筆記体を普通に読める人がいるのだろうか?
実際誰もこの店の名前知らないんじゃないか…
カランカラン
「おはようございま~す。」
少年が喫茶店のドアを開け中に呼びかける。
店内はまだ営業時間外のためか少し薄暗くなっていた。
「はぁ~い。」
奥から声がし、続いて足音がしだす。
カウンターの奥から制服姿のかわいらしい少女が一人出てきた。
「あ、空知さん、お帰りなさい。一週間ぶりですね。」
「よす、芙美儲かってるか?」
少女は苦笑し、
「あはは…、そういうのはマスターとかに聴いて下さい。」
「なんだ~ウエイトレスやってんだろ~。それぐらいわかるだろそれにこういう話も一つの挨拶だよ。」
「そんなことないです嘘はダメですよ。でもまぁ、分かってると思いますけど若い人に人気ですよ。休日とかカップルとか良く来ますし、私の友達とかも来てくれたりしまいたし。」
「ほ~まだ人気誇ってんのかこの店。」
「一週間じゃ変わりませんよ、それに居候させて頂いているので頑張ってます。」
芙美と呼ばれた少女は腕時計を見ると、
「ああ!もうこんな時間。それじゃ空知さんまた放課後。」
と言い急いで店を出て行った。
「ふふふ、青春だね~。」
背後から冷やかす声が聞こえる。
「マスター…いつから?」
振り向くとおじさんと言うには若すぎ青年と言うには老けすぎた男性がニヤニヤしていた。
「マスターいい加減にして下さい。」
少年は溜め息混じりに言う。
「まだまだ若い子に人気だぞ~。特に近くの学生さん達に。ま、奥で話そう。」
二人は店の奥へ進んだ。
「で…どうだった?」
マスターは声色を変え問う。
「やっぱりここ最近の未発見虫憑きの救助は"むしばね"じゃない。」
「やっぱりそうか…。」
「他のとこでもそうだった。でもほとんど東よりだ。」
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