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「マスター…今まで何人客来ましたっけ…。」
開店してから数時間むしろ朝から夕方の今まであまり客が来ない喫茶店のカウンターでうなだれる俺がいた。
パッヘルベルのKANONとか言うのが、開店してから流れている。
ちなみにこの曲がドアのベルで途切れた覚えがない気がする。
「あ~2、3人ぐらい来たと思うけど…。まぁ、この店平日の午前中とかって基本的に暇だから…。」
奥で下準備をするマスターが答える。
俺は今朝の開店時からこの店の制服を着ている。
店は窓際にあるテーブル席は陽が指し影を作るものは机上のメニューぐらいで、カウンター席には俺しかいなく。まばらに置かれているテーブルと椅子は整然と並んでいる。
だが、その平静は破られた。
カランカラン
振り向くと
ドアが開き制服姿の少女が数人入って来た。
「あ、いらっしゃいませ。」
「いい店ね~。」
「あ、空知さん。」
「お~芙美か、じゃあこの人達は…。」
「え!何!何!彼氏!?流石芙美職場で彼氏をゲットしたなんて…。」
…あれ?こいつ。
「ちっ違うよ、空知さんは私のお兄さんみたいな人で…」
「まぁそう照れるな。」
「ほ、本当に違うんだって、空知さんも何か言って下さい。」
「初めましてかな、紫乃芙美の彼氏の空知です。」
「空知さんまで~。」
もう芙美は涙目になっていた。
(あいつの笑顔をいつまでも…)
そう頭の中で声がした。
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