2話

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 〔コツ〕〔コツ〕〔コツ〕 冷たいコンクリートの壁や床に研究員達の足音と話し声が響き渡る。 「今日で何人目だ?」 「5人だったな‥死んだの」 「またか!?‥今月に入って20人は死んでるぞ」 研究員達の憩いの場 休憩室で 各々 珈琲やら紅茶を啜りながら実験で命を失った子供達の話しをしている。 此処の実験施設の実験では主に 2歳から15歳間での子供達が実験で使用されている。 15歳になると‥売られる。 「俺はお前達がやっている実験に参加してないが そんなに被害が出る程の実験なのか?」 「おいおい お前ダメだろが」 「そーだぜ‥契約違反になる 俺はまだ 死にたくないからな」 此処の実験施設の情報管理は徹底している。 例え同じ場所で働く者でも上司の許可無く実験情報を漏らすと死を招く事になる。 「悪い悪い 忘れてた(汗)」 「忘れんなよ!」 「まーまー おっと 時間だ」 一人の研究員が腕時計を指差し「休憩は終だ」と告げ各々 持ち場に戻る為 休憩室から去って行った。 「お前は[篭]から2人連れて来てくれ」 休憩室から出て自分の持ち場に戻った男は 一緒に休憩していた男に子供達の資料を渡し言う。 「ああ 分かった」 [篭]とは子供達が収容されている部屋の事。 研究員達の間では[篭]と呼ばれている。 「F室の10歳の‥少女Aに7歳の‥少年Bか‥」 先程 渡された資料を見ながら 「遠いな」と呟く。 「あっ ガハルさん!!」 [篭]に向かうガハルの背中を見つけ駆け寄る。 「誰かな‥君?」 「第3実験室のペルモです」 顎を摩り首を傾げるガハルに深々と頭を下げるペルモ。 「ああ‥頭をあげなよ 僕キライなんだよね‥そーゆの」 「は はい。ガハルさんは何の用で[篭]に?」 向かう先は一緒なのでガハルと並んで歩くペルモ。 「今日は4月4日なんだよね~だから‥誕生日を祝ってあげようと思ってさ」 娘の誕生日を祝うのを楽しみにしている父親の様な表情で並んで歩くペルモに言うガハル。 「そうなんですか‥誰の誕生日何ですか?」 「愛しの獅子だよ」 .
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