プロローグ

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プロローグ

~少し時を遡る~ [すまない] その男リヴィテール家の当主 アルバール・リヴィテール・エステア [気にしないで……ね。] 男は、腹部に短剣の刺さった女性の肩をだいていた その女ジル家にして王 パシフィリアス・クレア・ジル・エステア [すまない] 声は掠れている [泣かないで、約束を忘れたの?] 2人は幼なじみ [そうだな] 2人は政略結婚により、結ばれる事は無く [笑ってアルバール…、あなたは私の救世主なんだから] 別れ際の思い出は [あ、ありがとう…、 すまなかった] ただ一度、大きく息を吸って…。 [忍冬…、覚えてる?] 男は不意をつかれたようすで、死に向かう胸の中にいる女性を見る [あぁっ…] 男は止まらない涙で笑みを浮かべる [もし、辛くなったら……] […謳えば、いんだろ?] ジルは少し目を見開く そして、 [ぅん] にこやかに、されど瞳は切なく死をみつめて [……] そして、女性は光の泡となって宙を舞い上がる 光の泡は暗雲に消える。 降りしきる雨は、やつれた男を容赦なく叩く
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