一つの国の終焉

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戸惑いを見せるルシファルトは、リゼールの真剣な声音に気づき、慌てるのをやめ、一度冷静を取り戻す。 「頼むルファ…私を…」 こう言われて拒む者はそうはいない。ルシファルトもその一人だ。 強く、そして美しいリゼールがこう言うのはもう無いと思う。 ルシファルトは、ゆっくりと、だが確実にリゼールの背中に腕を回し、優しくリゼールを抱く。 その瞬間だった。 リゼールの体内を駆け巡る血液が逆流している様な錯覚に陥り、身体に熱を帯びる。 それだけではない。傷ついた場所すべてが回復し、尚且つ体力が回復、否力が漲って来たのだ。
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