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そして僕の横にスッと
腰を下ろす
「私、沙羅って言うの。貴方の名前は??」
まるで歌うように喋る
「僕は凪って言います。」
「凪…素敵な名前ね。静かな海の名前…」
「ありがとうございます…。」
流れる沈黙。
沙羅の声が聴きたくて
僕は問い掛けた。
「いつも此処で歌ってるんですか?」
彼女は微笑みながら
「月の綺麗な夜はいつも此処で歌ってるのよ。」
「そうなんですか。なぜ月の綺麗な夜に??」
そう僕が問いかけると少しうつ向く
聞いてはいけなかったのかと焦る僕に
「人魚姫の物語知ってる?」
突然の問い掛け
少し戸惑った僕はやっと返事をした
「え?ハイ…」
「さっき歌っていた歌はね人魚姫の歌なの。物語の人魚姫も月の綺麗な夜に海の上で歌っていたでしょう??それで‥ね」
少し悲しそうな表情で
そう答えた沙羅
僕は何故かそれ以上何も聞けなくて
月の光を浴びる美しい横顔に見とれていた。
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