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あの日、ロッカーで話してから、葉子との距離が、グッと近づいた気がした。勇助くんに「不思議ちゃん」と言われたからなのか、勇助くんが、親しみを込めて話掛けても、いまいちな反応しか返さなくなっていた。そして、約束の日
優実「葉子~こっち」
葉子「あ、おはようございます。お車だったんですね」
優実「あ、うん。ドライブしたくなって」
葉子「へぇ、お母様のお車ですか?」
優実「うん、まぁ」
ウソ。家の車は、まだ練習中で、レンタカーを借りた。
葉子「今日は、どちらまで、行かれるんですか?」
優実「南港の方に行こうかなと思って。あたし、なんでかわかんないけど、水辺が好きなんだ」
葉子「私もです。なんか気持ちが、おおらかになりますよね。今日は、お天気もいいですし」
優実「でしょ?だから、ドライブしたかったんだぁ」
葉子「優実ちゃん。今日は誘って頂いて、ありがとうございます。とっても楽しみにしていました」
優実「そんなお礼なんか、いらないよ。あたしが好きで誘ったんだから。でも、喜んでもらえてよかった」
葉子「私、今日が近づく度に、あと何日、あと何日って数えながら仕事してたんですよ。昨日なんか、いよいよ明日だと思うと、そわそわして」
優実「ぷっ。可愛いね。小学生の遠足みたい」
葉子「ホントに、それぐらい楽しみでした」
そんな話をしながら、車を走らせていた。
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