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ゴジラは沈黙した戦車を他所目に、佐世保へと歩行を開始した。巨躯の体重に、戦車の黒光りする分厚い装甲はぐにゃりと粘土を押し潰すように塑性変形を起こす。その光景はあたかも戦車が最初から塑像であったかのように思える程だ。
倉庫は踏まれれば、紙面で折られた小屋の如く無惨にも圧倒される。
「…くっ」
三雲陸将は眉間に皴を寄せて思い煩う。
「三雲陸将の部隊もやられたか…」
「陸海空もやはり敗走したわけですか…」
司令室はゴジラの九州蹂躙をただただ黙認するしかなかった。
「藤堂司令。黒木特佐より通信が」
右前の通信士が振り返り、朗報を伝える
「おぉ、繋いでくれ」
藤堂やその他の隊員はその朗報に歓喜した。この様子から、黒木の人望が窺い知れる。
「藤堂特将、申し訳ありませんでした。カドミウム弾を発射しましたが、何れも皮膚を貫徹することなく、仕留められませんでした」
やはりSX3による攻撃も駄目だった。
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