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複雑な思いをしながらも原子力空母を追放しようと基地のフェンス前に「原子力空母入港反対」の垂れ幕を掲げた集団が押し寄せていた。彼等は避難誘導の中を脱け出し、「原子力空母が来なければ、ゴジラも来なかった」とクレームをつけている。
所変わり、その曰く付きの空母、“ハリー・S・トルーマン”の艦橋。
「日本人はこの空母が無ければ何も出来ないくせに、よく大口が叩けるな。彼等は五ヵ国間協議を知っているのか?」
士官の一人が部下を相手に愚痴を垂れる。
「そう怒るな、副長。君の合衆国に対する熱い愛国心は認めるが、同胞の罵倒は良くない。ワシントンも「その場にいない人を非難するな」と言っている」
白髪の優しげな艦長が副長に歩き寄った。
「…ジャップのことは気にするな。今は“Godzilla”に集中しろ。もう、すぐ傍まで来ているそうだ」
艦長は副長に意思を他に向けるよう誘導し、宥める。確かに今は争っている場合ではない。脱出の方が先決だ。
「出港急げ!」
ゴジラの接近を許したが、漸く補給を終え錨を揚げ、出港に入る。
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