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海水を掻き分け、疾走する空母。その速力30Nt(54km/h)。こんなにも震駭する世界を差し置いて天気は快晴。日も南天へ登っている。不謹慎と思える程、自然はのうのうとしていた。
「ゴジラ、入水!」
ゴジラも空襲を耐え忍び、ついに佐世保湾へ身を投た。さて、いよいよ空母追撃戦へと入る。阻止するアメリカ海軍はタイコンデロガ級巡洋艦「カウペンス」を湾内での戦いで失っており、早くも苦戦を強いられていた。ゴジラ相手にイージス艦よりか戦艦の方が効いていたかも知れない。しかし後悔も後の祭り。咄嗟に戦艦等投入出きるはずもなく、ゴジラの勢いは止められない。
「わぁあ!」
「我らを護りし神よ…!」
「ブルー・リッジ!ブルー・リッジ!応と…」
ゴジラの尻尾の先端が、併走していたアーレイバーク級駆逐艦「ジョン・S・マッケイン(John S.McCain)」の艦橋に飛び込み、中破。追跡不能に。艦橋は段ボールを潰したように凹み、マストがぐにゃっと藁葺きのように萎れ、窓ガラスには黒ずんで見える程に夥しい大量の血痕が流出している。
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