─空母追撃阻止─

10/10
前へ
/91ページ
次へ
<ガアアァァ> 濁った、より甲高い悲鳴が雨音の中で聴こえた。再び海上に対し垂直に立ったゴジラの肩からは、硝煙が吹き出ている。 ズッ!という鈍い爆発音が聴こえた時、その肩から肉片と血飛沫が飛んだ。漆黒と緋色の入れ交じる肩。ゴジラは苦しみ悶えた。 「攻撃は失敗」 旗艦より艦隊に悲報が伝えられる。苦悶は与えたが冥土に誘うことは出来なかった。米軍の考案した作戦は結果的に失敗した。しかも悪いことは重なるのか、ゴジラはダメージを受けて激怒。放射能火炎を空母へ発射した。距離的に離れているとは言え、空母には確りと着弾。一瞬だが右舷と船尾に照射され、爆発が起こる。 「被弾!」 「航海システム及び操舵機能に被害。レーダー、舵破損!」 事態は悪化の道を辿る。これで米軍の誇る原子力空母は暴走軍艦と化したわけだ。ブレーキは掛かるが、速力を緩めては追いつかれる。米軍は天を仰いだ。
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

126人が本棚に入れています
本棚に追加