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G対策センターのMICでは事態が悪化するにつれ、騒々しくなっている。
「SX5の到着は未だか!?」
副司令は通信士に怒鳴った。しかし通信士の返答は「未だです」の一言。
「何をやっているんだ…」
司令らは嘆息した。そして更に追い討ちをかける一言が。
「このままでは紛争中の国境線に突入します!」
「ぐ…。これでは国際問題だ」
藤堂司令は頭を抱えた。
MICのドアでガチャっと開く音がした。
「ゴジラが現れたとは本当ですか?!」
声の主が誰か、司令達はすぐにわかった。五条梓である。
「五条くん…」
藤堂司令が振り向いた。
「退去させますか?」
「いや、良い」
司令は衛兵を鎮め、五条の方をもう一度向いた。
「…五条くん。君が居たいならここにいなさい。ただ、指揮や連絡を呉々も邪魔しないように」
司令の配慮に五条は頭を下げ、司令達の後ろでゴジラの映ったメインスクリーンを眺めた。
朝鮮海軍は原子力空母に警告を送っている。しかし、空母側は舵と受信アンテナ等を放射能火炎により損壊され、成す術がない。米軍側の駆逐艦が攻撃しないよう電報を送るが、朝鮮海軍は強硬な態度で空母の突入を拒んでいる。当たり前だ。敵側空母が突っ込んで来る上にオマケはゴジラだからだ。
朝鮮海軍はTu-22爆撃機を発進させ、巡航していたSu-32戦闘爆撃機を差し向けた。
日朝国境線は一気に緊張状態に達する。
「…もはや臨界領域だ…」
黒木特佐らはそれを見て呟いた。
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